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ネットワーク

RIPの仕組み

経路上には無数のルーターが存在し、たくさんある経路の中から適切なものを選び、途中のルーターが故障しても迂回しながら目的地までパケットを送り届けてくれます。これはルーティング・プロトコルによって、ルータ同士の情報を交換しているからです。一番なじみのあるものにRIPがあり、このRIPの仕組みを知ることにより、ルーティングの働きを理解できます。このスキルアップでは、RIPの基本動作とRIPの弱点を補う機能について解説します。

ルーターの働き

ルーターは、ネットワーク同士を繋ぐための機器ですが、ただ繋いでるだけならパケットをどこに送ってよいのか分かりません。ルータは、自分自身と直接繋がっているネットワークの存在を知ることで、ネットワーク間でのパケットの受け渡しが可能となります。図a-1を例にして説明すると、ルーター1は自分に直接繋がっているネットワークAとネットワークBの存在が分かるので、この2つのネットワーク間での受け渡しはルーター1が持っている情報だけで通信が可能です。

では、図a-2を見てください。ルーター1にネットワークCへのパケットが来るとどうなるでしょう。ルーター1はネットワークCの存在は知りません。この場合、ルーター2はネットワークCと直接繋がっているので、ルーター1はルーター2にパケットを渡せば、ネットワークCまでパケットを送ることができます。このように直接繋がっていないネットワークへのパケットも転送できることになります。

ルーターが複数あれば、ルーター自身の知っているネットワークの存在に関する情報を他のルーターに教えたり、逆に教えてもらうことにより、最適な経路を選択しパケットを送り届けることができます。このルーター同士のネットワーク情報(経路情報)のやり取りを行っているプロトコルをルーティング・プロトコルといいます。RIPはその中の1つです。

RIPを動作させたルーターは、自分の知っている経路情報を他のルーターに定期的に送っています。経路情報の集まりをルーティング・テーブルと呼びます。つまり、ルーティング・テーブルに記載されている情報を他のルーターに知らせ、他のルーターから教えてもらった経路情報をルーティング・テーブルに追加します。1台のルーターが発信した経路情報をルーターからルーターへ伝えることで、最終的にすべてのルーターにすべてのネットワークの存在を知らせることになります。RIPが働いているルーターは、RIPアップデートと呼ばれるパケットを30秒間に1回の間隔で発信しています(図a-3)。このRIPアップデートを定期的に行うことで、ネットワークの経路に変化があっても、その内容がすべてのルーターに反映されます。

RIPアップデートの中身

RIPには2つのバージョンがあります。やり取りする情報は基本的に同じです。情報の中身は、「ネットワーク・アドレス」と「メトリック」の2つで、これらの情報をあて先ポート番号520番のUDPパケットに詰め込んでネットワークにブロードキャストします。ただし、RIPバージョン2では、マルチキャストで行っています。メトリックとは、あて先ネットワークへ到達するまで経由するルーターの数(ホップ数)を表します。通常は、ルーターに直接繋がるネットワークのメトリック値は「1」です。

ルータは最初に、自分に直接繋がるネットワークのアドレスとメトリック「1」の2つの情報が入っているRIPアップデートを送信します。この情報を受け取ったルーターは、受け取った情報を自分の持つ情報に加えて、さらに他のルーターに転送します。このとき、受信した経路情報のメトリック値は1つ足した「2」にします。こうすることにより、RIPアップデートで「○○というネットワークは○個先のルータに繋がっているよ」という情報を他のルーターに伝えていることになります(図b-1)。

RIPアップデートを受け取ったルータは、これら2つの情報からルーティング・テーブルを作成します。ルーティング・テーブルでは、あて先ネットワーク・アドレス、メトリック、ゲートウェイのアドレス、インターフェイスの4つの情報から1つの経路情報を作っています。ゲートウェイ・アドレスは、パケットを送出する先のルータのIPアドレスで、インターフェイスはパケットを送り出すルーター自身のインターフェイス・ポートのことです。ちなみにゲートウェイの情報は、RIPアップデートのパケットに書き込まれた送信元IPアドレスが登録され、インターフェイスの情報はRIPアップデートが入ってきたポートになります。

経路情報の最適化

ルーティング・テーブルの情報は常に最新の情報を取得する必要があります。作成中に同じあて先への経路情報が複数作成されることもあり、この場合はメトリックの小さい経路を採用します。なぜなら、メトリックの小さいということは、パケットが経由するルーターの数が少なくなるからです。また、同じルーターから同じネットワークに関して異なるメトリックの経路情報を受け取る場合は、最新の経路情報を採用するというルールがあります。つまり、メトリックが大きくても、そちらのほうがより新しいものであれば採用するのです。RIPは、常に最短、かつ最新の経路情報を採用するようになっています。

ルーターでRIPを動かせるには、ルーターのどのインターフェイス・ポートでRIPを有効にするかを指定するだけです。有効にすれば指定したインターフェイス・ポートからルーティング・テーブル内の情報をRIPアップデートで定期的に送信されます。同時にRIPパケットを受け取り、自身のルーティング・テーブルを書き換えるようになります。ただし、RIPは経路情報に変更がなくても、通常30秒ごとにルーティング情報を送信するので、トラフィックを増大させる原因の1つとなります。

【RIP:RIPの仕組み】