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レポートの作成1
ある特定のデータ情報やある期間内に発生したデータなどを印刷したい場合に、レポートを利用します。
通常は、印刷物として出力する時にレポートを作成することになりますが、印刷として出力する必要がなければ、レポート作成は不要です。しかし、現在でも一般業務では、紙ベースで配布、提出しますので、最低限のレポート作成は必要となります。
レポートは、Accessのオブジェクトの中で一番時間を要します。レポート自体を作成することは簡単にできますが、ユーザの思惑通りのレイアウトを描くには、細かな操作が必要となります。Accessにすべてのレイアウトを任せたものであれば、数分で出来上がりますが、企業の規定のフォームに沿った印刷したいのであれば、線や文字の配置などのレイアウトにかなりの時間が費やされます。
レポートのためのクエリ作成
レポートを作成する前に、フォームと同様にデータ基となるテーブル、クエリが必要となります。ここでは、各売上先の合計金額が表示された「Q売上内容の合計」と[Q 顧客毎の売上合計]を作成します。
[Q 売上内容合計金額]クエリの作成
印刷したいデータは、売上が発生している会社名、製品名、売上の小計、割引率、消費税、そして売上合計金額などにします。これらのデータは、テーブルとして蓄積されていますので、それらテーブルから必要なデータを結合させたクエリを作成すれば、テーブルに蓄積されない、小計や売上合計金額を含めた状態でレポートの基データにできます。
① [作成]タブを選択し、[その他]-[クエリデザイン]ボタンをクリックします。
② [テーブル表示]が表示されますので、「顧客テーブル」、「売上テーブル」、「売上詳細テーブル」、「商品テーブル」を追加します。追加したら[テーブル表示]画面は閉じます。
③ 結合線が見えるように各フィールドリストの位置を並べ替えます。また、フィールド名がすべて表示されるようにします。下図を参照してください。
④ デザイングリッドに以下のフィールドを順番に追加します。追加は、フィールドをダブルクリックします。
テーブル名 | フィールド | 並べ替え |
売上テーブル | 売上NO | 昇順 |
顧客テーブル | 会社名 | |
商品テーブル | 商品名 | 昇順 |
商品テーブル | 単価 | |
売上詳細テーブル | 数量 | |
売上詳細テーブル | 割引率 | |
売上テーブル | 消費税率 | 昇順 |
顧客テーブル | 顧客ID |
クエリのデザイングリッド内に複数の並べ替えの設定がある場合、優先順はデザイングリッドの左端から右側の順になります。
並べ替えの順を変えるには、フィールド列を入れ替えるか、並べ替え用にフィールドを追加して、表示のチェックを外すことで実現できます。
⑤ 「小計」と「割引後の小計」、そして「合計金額」を表示するフィールドを追加します。
ここで"演算フィールド"を作成することになりますが、「合計金額」フィールドでは、[割引後の小計]が計算対象となります。よって、割引率のデータがない場合は、表示されないことになるので、この段階でテーブル[売上詳細テーブル]の[割引率]のデータを追加します。データが空白ということは、割引率が「0」となりますので、手入力で「0」と入力します。以下の手順で行ないます。
- クエリは開いた状態のままでかまいませんので、[売上詳細テーブル]を開きます。
- [割引率]の空欄に「0」と入力します。縦方向に入力する場合は、数値を入力後下向き矢印キーを押すと、下のセルにカーソルが移動します。(左下の図を参照)
- パーセント書式と既定値を確認します。もし設定されていなければ変更します。「0」を空欄に入力後、[デザインビュー]に切り替えます。
- [割引率]フィールドを選択します。[フィールドプロパティ]の[書式]プロパティを「パーセント」にします。
- [小数点以下表示桁数]を「0」、[既定値]も「0」にします。(右下の図を参照)
- [データシートビュー]に切り替えて、書式が変更されたことが確認できたら、上書き保存してテーブルは閉じます。
◆ 小計フィールドの追加
[数量]と[割引率]フィールドの間に[小計]フィールドを追加します。
フィールドの追加は、[割引率]フィールド列を選択します。その列内にカーソルを移動してもかまいません。[クエリツール]-[デザイン]タブを選択し、[クエリ設定]-[列の挿入]ボタンをクリックします。
[フィールド]行のセルに「小計: [数量]*[単価]」と入力します。※漢字以外はすべて半角入力です。
◆ 割引後の小計フィールドの追加
[割引率]と[消費税率]フィールドの間に[割引後の小計]フィールドを追加します。
[フィールド]行のセルに、「割引後の小計: [小計]*(1-[割引率])」と入力します。
◆ 合計金額フィールドの追加
[消費税率]と[顧客ID]フィールドの間に[合計金額]フィールドを追加します。
[フィールド]行のセルに、「売上合計: [割引後の小計]*(1+[消費税率])」と入力します。
⑥ 追加したフィールドのプロパティを変更します。
[小計]フィールドと[売上合計]フィールドのプロパティシートの[書式]プロパティに「通貨」を設定します。
⑦ [割引後の小計]フィールドでは、[書式]プロパティに「通貨」、[小数点以下表示桁数]プロパティに「0」を設定します。
設定が終わったら、プロパティ画面は閉じます。
⑧ 名前を付けて保存します。F12キーを押して、[名前を付けて保存]ダイアログボックスを表示させます。
「Q売上内容の合計」と入力して、[OK]ボタンをクリックします。
⑨ データシートビューに切り替えて確認します。
それぞれのデータが正しく表示されていることを確認します。列幅などは調整しておきましょう。
上書き保存をしてクエリは閉じておきます。
[Q 顧客毎の売上合計]クエリの作成
各売上伝票(売上NO)の合計金額をレポートとして出力するための「Q顧客毎の売上合計」クエリを作成します。
先ほど作成した「Q売上内容の合計金額」を利用します。
① [作成]タブを選択して、[その他]-[クエリデザイン]ボタンをクリックします。
② [テーブルの表示]ダイアログボックスの[クエリ]タブを選択して、「Q売上内容の合計」を選択して、[追加]ボタンをクリックします。[テーブルの表示]ダイアログボックスは閉じます。
③ 追加した[Q売上内容の合計]フィールドリストのすべての項目が表示されるようにフィールドリストの高さを調整します。
④ [Q売上内容の合計]フィールドリストから次のフィールド名をダブルクリックして、デザイングリッドに追加します。
ダブルクリックするフィールド名:売上NO、会社名、売上合計、顧客ID
⑤ [クエリツール]-[デザイン]タブを選択し、[表示/非表示]-[集計]ボタンをクリックして、デザイングリッドに[集計]行を表示させます。
⑥ [売上合計]フィールドの[集計]セルを「合計」に設定します。
⑦ [会社名]フィールドの[並べ替え]セルを「昇順」に設定します。
⑧ [売上合計]フィールドを選択して、プロパティシートを表示させます。
[書式]プロパティは「通貨」、[小数点以下表示桁数]プロパティは「0」、[標題]プロパティに「売上NO毎の合計金額」と入力設定して、プロパティ画面は閉じます。
⑨ データシートビューに切り替えます。
売上伝票ごとに集計されていることを確認します。
※ 売上NOは並べ替えません。ここでは会社毎にまとめて売上合計を表示させることを意図して作成しています。
⑩ 名前を付けて保存します。F12キーを押して、表示された画面に「Q顧客毎の売上合計」と入力して、[OK]ボタンをクリックします。
「Q顧客毎の売上合計」クエリは閉じます。
[R各売上内容の合計]レポート作成
ここまで作成したクエリを基に、2つのレポートを作成します。
まず、[R各売上内容の合計金額]レポートを作成します。基になるクエリは[Q売上内容の合計金額]です。
① [作成]タブを選択します。
② [レポート]-[レポートウィザード]ボタンをクリックします。
③ [テーブル/クエリ]欄は、「クエリ:Q売上内容の合計金額」を一覧から選択します。
④ [選択可能なフィールド]の一覧から次の順に[選択したフィールド]に移動させます。[次へ]ボタンをクリックします。
会社名 、 商品名 、 売上NO 、 単価 、 数量 、 小計 、 割引率 、 割引後の小計 、 消費税率 、 売上合計
⑤ グループレベルは[会社名]を指定します。[会社名]を選択して、>ボタンをクリックします。[次へ]ボタンをクリックします。
⑥ 並び替えは指定しません。[次へ]ボタンをクリックします。
⑦ レイアウトは「ステップ」を選択し、印刷の向きは「横」を選択します。[次へ]ボタンをクリックします。
⑧ スタイルは「Office」を選択します。[次へ]ボタンをクリックします。
⑨ レポート名に「R売上内容の合計」を入力して、[完了]ボタンをクリックします。
レポートが表示されます。
会社名ごとにまとめられたレポートになります。