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ネットワーク

第3幕

前回、コンピュータの役割にはクライアントとサーバがあるという会話でした。今回は、クライアントとサーバの関係を少し掘り進んで、ネットワークの形態という内容になります。では、二人の会話を聞いてみましょう。

「クライアントとサーバの使い分けについて話そうかな。」


「はーい。お願いします。」


「一般的に2つの形態があるんだよ。」


「形態?なんか難しそうだな~~~~~。」


「形態が難しかったら方式と言った方が分かりやすいかな。」


「うん。それだったらなんとか分かりそうです。」


「本来は形態と方式は違うけど、ここでは同じような意味としてもらった方が良いかもね。では、話を続けるね。」


「はーい。」


「自宅(個人の家)と企業でのネットワークの違いで説明するね。」


「それってネットワークは同じではないんですか?」


「ネットワーク自体は同じ仕組みだけど、企業の場合は少しネットワークの運用が違うと言った方が良いかもしれないね。」

「へ~、どこが違うのだろうなぁ?」


「では、一般家庭のネットワークから話すね。一般家庭でも2、3台のコンピュータを持っていることが当然になってきているので、けっこう自宅でもネットワークを組んでいるところは多いはずだね。その場合、それぞれのコンピュータはその時の状況で、クライアントとなったりサーバとなったりしているんだ。」

「その時の状況とはどんな時なのですか?」


「うん。例えば、AとBのコンピュータでネットワークを利用する時、AがBのデータを貰ったり、反対にBがAのデータを貰ったりと、お互いに貰ったりあげたりする時が入れ替わるよね。その時、Aがデータを貰う時はAはクライアントになり、Bにデータを上げる時はサーバとなるだろう。」

「なるほど。そうですね。その時その時で、クライアントとサーバを使い分けていますね。」


「このAとBは、お互いに対等な立場でネットワークを利用することができているので、このような方式をピア・ツー・ピア方式と呼ぶんだ。」

「じゃ~、会社ではどうなんですか?」


「会社でもこの『ピア・ツー・ピア方式』で利用している会社も多いんだけどね。」


「な~んだ。すべての会社が自宅と違うと思っていました。」


「ただ、中・大企業になると『ピア・ツー・ピア方式』ではセキュリティ面で問題となるので、違う方式でやっているんだ。その方式を『クライアント・サーバ方式』と呼ぶんだ。」

「それってどのような方式なんですか?」


クライアント・サーバ方式は、コンピュータの使い方を『サーバ』と『クライアント』と決めてしまうやり方なんだ。つまり、データを提供するコンピュータとデータを使いたいコンピュータをはっきりと分けていることになるね。
企業の社員の手元のコンピュータはすべてクライアントだけとして使うんだ。そして、会社はサーバとなるコンピュータを設けて、そのサーバ内に会社のデータを蓄積して、そのデータを社員に使わせるんだ。だから、この時のサーバは、データを受け取るようなクライアントにはならないんだよ。」

「じゃ~、サーバというコンピュータは他のコンピュータと違うんですね。」


「そうなんだよ。この会社のサーバと言うのは、サーバ機能を持っていて、しかも能力の高いコンピュータが求められるんだ。社員のクライアントのコンピュータより優れたコンピュータを用意する必要があるね。」

「クライアント・サーバ方式の長所と欠点は何ですか?」


「そうだね。まず長所は、全社員のコンピュータを一括して管理できることかな。つまり、一元管理できることがすごいね。それと、セキュリティ面も配慮できるし、各コンピュータの更新状態も一括してできるね。欠点は、お金がかかることかな。サーバ専用機として使うために、それ専用のコンピュータを用意しないといけないこと。それと、サーバ機は誰でも扱えるものではないので、その専門職の方、いうなればネットワーク管理者が必要であることだね。」

「聞いただけでもちょっと複雑そうですね。じゃ~、ピア・ツー・ピアの長所と欠点は何ですか?」


「うん。クライアント・サーバ方式の長所と欠点の逆を考えればいいよ。安価でネットワークが構成できて、誰でも簡単に利用できること。欠点は、それぞれのコンピュータでセキュリティを施す必要があるので、セキュリティが煩雑になるね。また、各コンピュータで管理しなければならないので、使う方のモラルが大事になってくるよ。」

「家庭などでは、コンピュータの数が少ないので『ピア・ツー・ピア方式』の方を取り、会社で多くのコンピュータがある場合は『クライアント・サーバ方式』を取った方が良いということですか?」

「うん。そのとおりだね。まあ、少ないコンピュータの数だけど、『クライアント・サーバ方式』を使いたい人は使った方が良いかもしれないけどね。費用と手間と知識を考慮した方が良いかな。」

「じゃ~、私の家では『ピア・ツー・ピア方式』とします。」


「なんでだい?」


「だって、1台しかないからです。」


「それって、問題外だね。」


ネットワークの形態には2つの方式があることは理解できたでしょうか。一般家庭や小・中小企業は、安価で誰でも構築できる「ピア・ツー・ピア方式」を取り入れています。これは、コンピュータの数が少ないからできる方式です。ただし、セキュリティ面に劣りますので、使用している社員やユーザにしっかりと自己管理とセキュリティ対策を施すことを啓蒙しておく必要があります。

【第3幕:ネットワークの形態】