ネットワークの形態には、ピア・ツー・ピアとクライアント・サーバの2つの形態があったことは第3幕でお話ししました。ここでは、ネットワークの接続形態についての会話になります。言葉の意味的にはどこが違うか分かりにくいですが、ピア・ツー・ピアやクライアント・サーバは、コンピュータ同士の関係の話で、今回の接続形態はネットワークの規模についてだと考えてみてください。では、会話を聞いてみましょう。
「先生!インターネットと自宅のネットワークは同じなんですか?」
「なんで、そんなことを聞くの?」
「ちょっと思ったんですけど、インターネットは世界中の人が共有できるネットワークだとしたら、自宅のネットワークとどこが違うんだろうかと、ふと考えてしまって。」
「ネットワークということに関しては同じなんだけどね。ただ、インターネットの世界と自宅(企業)内のネットワークは異なるんだよ。」
「大きいか小さいかの違いですか?」
「規模と考えても良いけど、ネットワークの仕組みが少し違うかな。じゃ~、ちょっと分けて説明してみようかな。」
「はい。お願いします。」
「ネットワークの種類には、簡単に分けると2つあるよ。まずは、自宅や企業内のネットワークを「LAN(ラン)」と呼ぶんだ。」
「LANをフルネームで言うと何ですか?」
「ローカル・エリア・ネットワーク(Local Area Network)だよ。同一の建物や敷地内のように比較的狭い範囲で、コンピュータやプリンタなどを繋げたネットワークになる。日本語では「構内情報通信網」と言われるけど、閉じられたネットワークと表現することもあるね。」

「ふ~ん。閉じられたネットワークだったら、外に出ていけないのですか?」
「閉じられたと言っても遮断されているということではないんだよ。その中(範囲内)で運用しているネットワークであるということだけなんだ。LANとLANを線で繋げると、もちろん通信できるんだよ。例えば、家をLANと考えてごらん。私の家とナーニちゃんの家は、違う場所(敷地)にあるけど、家と家は道でつながっているよね。だから、お互いに行き来ができると考えると分かるだろう。」
「ほんとだ。道をケーブル(線)と考えると、人が行き来できて会話ができますよね。納得です。この道が世界中でつながっていてどの家にも行けるとしたら・・それがインターネットと言えるんですか?」
「そうだよ。インターネットは世界規模のネットワークだけど、末端はLANなんだ。つまり、凄い数のLANがつながった環境がインターネットと言えるね。」
「すごいですね。じゃ~、もうひとつのネットワークの種類は何ですか?」
「お!忘れていた。それは「WAN(ワン)」と言うんだ。Wide Area Network(ワイド・エリア・ネットワーク)がフルネームで、離れたLAN同士を相互に結んだ広域ネットワークと表現できるかな。」

「え?さっき、LAN同士がつながったのがインターネットだったから、WANとインターネットは同じことなんですか?」
「実は、WANとインターネットは全く違うんだよ。」
「どこが違うんですか?」
「WANは、繋がっているネットワーク(LAN)は信頼できるところになるね。例えば、ある会社の本社と支社が離れている場合、本社と支社を直接繋げたものがWANになるね。WANは、セキュリティ的に安心できる環境が整えるので、大事なデータを送りあうことができる。インターネットは、不特定多数のLANが繋がっている環境なので、大事なデータを送りあうにはセキュリティを考慮して送り合う必要が出てくるね。LANとLANを繋げているところは同じなんだけど、繋げ合っているLANが特定されているのがWANで、不特定なのがインターネットと言えるね。」
「う~ん。分かったような、分からなかったような・・。」
「あまり気にすることはないよ。大体の雰囲気だけ分かれば、それで十分だよ。」
「それじゃ~、WANは特定された会社同士を繋げる時、インターネットは世界のみんなと繋がっていると思っても良いのですか?」
「うん。そう考えてごらん。」
「では、LANとWANの違いって何ですか?」
「うん。まず、LANだけど、誰でも簡単に作れて、使用料金は要らないことかな。WANは、物理的に離れた場所を繋ぐので、自分たちで繋ぐことはできない。だから、電気通信事業者が提供している通信サービスを利用することになるよ。と言うことは、その通信サービスの料金を支払うことになるよね。」
「通信サービスとは何ですか?」
「通信サービスは、回線サービスとも言うけど、いろんな種類があるね。例えば、ダイアルアップ回線、ISDN回線、ADSL回線、ケーブル回線、光回線(FTTH回線)などがあるけど、聞いたことあるだろう。」
「知ってます~。私の家は、光回線です。でも、料金を払った覚えないなぁ~。」
「ナーニちゃんが払っているのではなく、ご両親が払っていると思うけど・・」
「ですよね。(笑)」
「WANは、専門の人に頼まないとできないネットワークだけど、LANは誰でも簡単に作れるネットワークだよ。それに、ネットワークの基本学習となると大体がLANの知識だよ。」
「LANが分かれば、自分の家や会社のネットワークが理解できるのですか?」
「そうだよ。もちろん、インターネットの世界の技術も覚えておくものはあるけど、LANの知識があれば、トラブルがあった場合は、けっこう解決できるんだ。」
「じゃ~、LANについてお話。お願いします。」
「LANの話については、次回にしようね。これから僕はトレーニングに行くんだよ。」
「なんだ~、用事があるんだ。何で?いまさらトレーニング?」
「じゃ~~、また~~。(走って帰りました)」
「ああ~、ランか・・・。」
ネットワークの本来の目的は、お互いのコンピュータ内のデータを利用し合えることを前提に考えられました。ただ、通信と言っても、会話のためだけではなく、コンピュータ内の利用できるデータを交換し合えるからです。一般的に、コンピュータ内のデータを「資源」と言います。資源を「リソース」とも呼びます。ネットワークは、これら資源(リソース)を共有しあえることが本来の目的です。ただ、資源は単なるデータ(ファイルやディレクトリ)だけではなく、プリンタなどのハードウェアやプログラムなどのソフトウェア、さらにはコンピュータを利用するユーザなどを指すことがあります。
【第5幕:ネットワークの接続形態】